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カフェ好み論。その1

diary
わたしはカフェが好きだ。もともと好きだったと思うけれど、谷根千あたりで働くようになってから、カフェのすごい可能性に気づいた。

カフェてすごいんだ。こりゃあいいや、と思った。

その中でも好みというのはある。好きなお店というのは、つまりお店の人が好きなのだ。とくに谷根千あたりは個人経営のお店が多くて、人がつくる雰囲気やお店のカラーが味わえてとっても楽しい。顔の知ってるあの人が、きっとこんな気持ちで今日も作ったご飯が食べられる。その暖かさを知ってしまうと、チェーン店が少し味気なくなる。

さいしょにそれを教えてくれたのは谷中ボッサだ。ブラジルがこよなく好きなご夫婦のお店で、よくランチに通った。ムケッカをはじめて食べてハマり、フワフワのキッシュやケーキも季節ごとに具材が変わって、こんなにシンプルなのになぜこんなに飽きないの??
古民家を改装したお店は小さいけれど天井は高く、壁は漆喰で白く塗られて時々展示スペースになる。使い込まれた家具はかなり年季が入っているけれど、一回座ってしまうとお店全体の暖かい明るさに、日向ぼっこしてるような気持ちになって動きたくなくなってしまう。内装からメニューから、隅から隅までオーナーのライフスタイルが浸透してひとつのカラーになっている。個人のお店の良さてこういうことかぁと思った。

そして通ううちに気づいたが、お店の人の距離感もわたしにちょうどいいのだった。まったり縁側に座ってるような気持ちの時にはひとりの世界に入れるし、他にお客さんがいないときには気ままにおしゃべりもできる。いなかの親戚のお家に来たような気持ちになるのだ。暇なときに、どうしてこのお店をはじめたの?とご主人に聞いてみたことがあって、なんだか印象に残ってる。(かかないけど。)

時間帯によっては、焼きあがったパンやキッシュがお店の隅の椅子に置かれて冷まされていて、ふわ〜んと甘く香ばしい匂いがしたりする。事務仕事は時に味気なくて、人間味が薄くなって、ハートまで肩のようにゴリゴリこってしまうときがあるけれど、お昼休みにチャリをとばしてここまでくると、ふと誰かの生活空間に触れるように、自分の時間が暮らしの色を少しだけとりもどして、暖まる。
その時間の中で憩って、また戻ってゆくのだ。

ボッサにはボッサの営みがあって、
わたしは一人の気ままなお客として、けっこうこのお店を愛している。

つづく