カフェ好み論。その2

さらなるカフェの楽しみを教えてもらったのは、根津のコーツトカフェだ。

今は家具が少し変わってしまったが、はじめは奥にオーディオセットと長いソファーがあって、ちょっと北欧ぽい、どこかのお家のようだった。そのアットホームさは、気さくな椿さんがいるかぎり変わらない。
何より1番素晴らしいのは、オープンから夜まで、すべての時間で全てのメニューがたのめるところだ。つまりいつ行っても、御飯も食べれる、お酒も飲める、つまみもある、ケーキもある、お茶もたくさん種類がある。いつきても、どの需要も満たせるのだ。ちょー便利!

夜に1度行って気に入り、3回目にはお店を借り切って会社の送別会をひらいた。こんなところで働けたら素敵だなぁ〜という願望を叶えるため、その日はわざわざエプロンをし、カフェ店員になりきってみたりした。おまけにキーボードを持ち込んでみんなで森山直太朗のさくらを合唱したりしたので、思い出深い。

それがあったからお花の名前の店長もわたしのことを覚えてくれて、そのあと何度かひとりで行ったけどいつも気さくにお話ししてくれた。そうしてるうちに常連さんと会うようになった。

何人かお会いしたが、なかでも1番の常連さんは毎日ここで8時くらいまでコーヒーを飲んでかえるおじさんだ。家も職場も遠いのに、毎日きては、ひとりでコーヒーを飲んでゆく。若者が好きそうな北欧風のカフェなのに、常連さんはおじさん世代で、お店の懐の深さを感じる。
わたしもふらっと1人でいくと、よくこのT蔵さんとお話しした。(ともぞう、ではありません。)

ある日、近所の常連のおじさんとT蔵さんとわたしだけの日があった。椿さんもキッチンからでてきて、他にお客さんもいないからとT蔵さんは自分が好きなビートルズをお店のオーディオでかけることを許された。(まさに許された、という感じで、店長とT蔵さんのざっくばらんな関係もとても面白い)
そしてちょうどレットイットビーをBGMに、T蔵さんがコーツトカフェにはじめて訪れた時の話をしはじめた。あの前奏をききながら、ものすごくいい話しがはじまるのか??という雰囲気に包まれた。たしかその話しは、ある春の日に谷中の桜を愛でながらふらりと辿りつくとここには椿の花が咲いていた、という綺麗なものだった。しかし谷中の桜を愛でるくだりが長すぎて、聞けども聞けどもなかなかカフェが登場しないので「長いよ!」とつっこんだ気がする。

お休みの日に遊びに来たバイトさんと一緒にケーキを食べたりしたこともあって、1人できても何だかひとりじゃなくなったり、まったりしたいときはT蔵さんがいてもとくに話しかけずそれはそれで良かったり。

面白いなぁと思った。

そのころ、サードプレイスという言葉を知った。家と職場以外で居場所になるような、または人と交流のできる第3の場所ということだそうで、ヨーロッパではカフェやバールがその役割をはたし、カフェから時代は作られるというくらい、生活に欠かせないところだという。

コーツトカフェではそんなサードプレイスとしてのカフェの可能性を感じさせてもらった。

しかし一人っ子のオタク体質ゆえか、時々どこか居心地の良い素敵なところで、ひとりの世界に入りたくなってしまう。そんな寂しい(?)わたしにカフェはぴったり!と思ったりする。

またふらりといこう。