かえってきた⭐️cui cui diary〜 ティータイムにessayを。

30代独身OLの日常のB面(尽きないファンタジー)を書いています。

ヨシナガムチゴケ

苔を見にいったときに、科学博物館の先生がすごく面白い苔のカルタをつくっていて、みんなでそれを読み上げたりして、色々名前を教わった。

素人には一回じゃ覚えられないものも多かったけれど、ふとした時に名前が頭をよぎって、あっ覚えてた!と思うものもあった。

教わった中のひとつに、ヨシナガムチゴケ、というのがあった。
たぶんヨシナガさんという研究者が発見して、ぺろっとめくると裏にムチのような細長いものが二本ついている苔なのだ。

その姿はなんとなく、エブァンゲリオンの第三使徒サキエルぽい、と私は思った。思っただけで誰にも言わなかった(のでここに書いてる。)。

先生、このムチのようなものは何でついてるんですか?
と聞くと、
先生は苦笑いしながら、
「生物の研究で、機能を解明するのが一番難しいんだ」、と言った。
つまりまだ分かっていないのだそうだ。

苔の世界はまだ謎が多いようだ。

でもきっと、生きていくのに無駄なものはないんでしょうね(無駄なものをわざわざ生き物は身体に残さないんでしょうね)、とわたしが言うと、
おぉ、名言だねぇ。
と先生は顔をほころばせた。

けれど、同時にふと思い浮かんだのは、
かの叶恭子さんが、「何も入らないバッグ」をコレクションしていることだった。

何も入らないほど小さく、バッグとしての機能を果たしていないのに、デザインのためだけに存在するバッグ・・。そしてそれをコレクションして愛でる感性と余裕・・。

そして思わずすぐに口をついてしまった。
「でも意味のないものを持ち続けることのほうがかっこいいかもしれない・・」
と言ったら、先生は「ん??」という顔をした。

その小さなバッグは小さな輝きで恭子さんの心にマーベラスな栄養を与えるのだろうか。
夕日をみたり、風にふかれたり、木を触ったりして私が何かをもらうように。

人の感性は「生き残る」という生き物のテーマを超えたところにあるようだ。