かえってきた⭐️cui cui diary〜 ティータイムにessayを。

おもに旅日記、日々の中の新鮮さを保つこと。

南仏の夏休み〜ニース最後の珍道中、ルルドへ〜


朝ごはん。昨日の旧市街のビストロでもらったパンも。
今日は、夕方いよいよトゥールーズへ出発する。

というわけで、15時に家を出発するまでの、最後のニースでの半日だ。
朝はゆっくり過ごし、旦那さんは家でのんびりして、友達と2人で観光することにした。

なぜか「では、珍道中いってきまーす」と言って出発したら、その後本当に珍道中?になってしまった。言霊の威力にびっくりした。



あさ、また海へ。
昨日に引き続き、またガラスをあつめる。色とりどりのガラスが集まったら、貼り絵のような何か作れるんじゃないかと、2人で燃え出す。異常に見つけるのが早い私。
私が帰っても、友達が瓶いっぱいのガラスをあつめる姿が浮かぶ。
と、夢中になっていたら、友達がまんまと(?)波に飲まれてしまった!
あ〜〜靴が!!ということで、出て早々に、一度帰宅。(珍道中①)

さて、今度はシャガール美術館に向けて再出発。バス停に向かい歩いていると、見知らぬおばさんに話しかけられた。観光客ではない様子、少しやつれた雰囲気で手には吸入器をもち、何かを訴えているがフランス語が全くわからない。友達は薬局のような単語を聞き取ったようだが、どうやら最終的にはお金をくれないか、と言っているようだと判断して、「No!」と断った。何か相談する素ぶりで話しかけて、よく聞くとお金をくれと言われることがあるらしい。

バス停に着いたがバスは来ず、路線図をよくよく見ると、工事でもあるのかバスのルートか番号が変わっているよう。急な変更というのは、よくあるらしい。とにかくバスは来ないので、少しの距離だがトラムに乗ることにした。
そしてトラムは定刻にきて、まぁまぁ空いている車内にのる。

切符は自分で機械に差し込むようになっていて、それをした後、その機械の後ろに立った。
すると、同じ駅で乗ってきたインド系のような女性が、私に背を向けて前にたった。
空いているのに、切符を機械にいれるような素振りをしながらぐっと身を寄せてくる。
一度は避けたが、また身を寄せてきた。
そのせいで私がじりじり後ずさり、後ろの子どもにぶつかってしまい、「ソーリーマダム、」と声をかけられたので、「ソーリー!」と言っていたら、また前の女性が身を寄せてきたので、いい加減不自然だと思い、はっとした。

私は首から一眼レフカメラと、クレジットカードなど入れた赤いパスケースを下げていた。
はっとして、カメラとケースを右手で持ち上げると、その下には前の女性の手が伸びていた。
まるで痴漢のように!

あっ、この人スリだよ。と友達に話し、ちょっと怒りの目で凝視すると、意味もなく携帯をいじりだし、0123と意味のない番号をうっている。そして白々しく、次の駅で降りていった。
なんだか怒りが湧いた。
何も盗られていないけど、痴漢にあったのと同じ気分だった。(珍道中②)

バスをおりても、美術館までの道はなんとなく不穏な感じがした。1人なのに大きい独り言を言う人とすれ違ったりして。
なんだかニースの裏側に触れたようだった。





美術館は、シャガールの主に宗教画をコレクションしていた。色味に癒される。愛を描いたものの印象が強かったから、これほどキリスト教的な絵を描いていて啓蒙する意識があったことをはじめて認識した。

今夜の目的地、ルルドへの良い始まりのような感じでもあった。

そして、やっぱりシャガールの絵はどこかさくらももこ的(逆か。)と思うのは私だけでしょうか。

美術館を出て、バスで新市街へもどった。
旦那さんと合流して、お昼は簡単にケバブを食べたり、帰って荷造りをして、日本の友達とスカイプをしたりして、いよいよ夕方に。

あっという間のニース滞在はおわり、飛行機でトゥールーズへ。またロストバゲッジしたりして!とか言いながら。1時間くらいで着いたかな。
空港で簡単に腹ごしらえをしている間に日が暮れて、空港でみた夕暮れはとても綺麗だった。
賑やかなニースとは違って、落ち着いた雰囲気のトゥールーズ
レンタカーをかりて、一路ルルドへむかう。

ほぼ満ちた大きな月に見守られて、2時間半ほどのドライブ。途中一度サービスエリアで休憩をして。


ルルドの街に着いた。細い道にお土産物屋さんがならび、もう夜の11時すぎだというのに、お店はあいている。
川が流れ、その川沿いに今夜のホテルがあった。街は暗くて静かで、そしてニースとは打って変わって寒い。ここは山のふもとで、空気がちがう。泊まるホテルは小さく暗く、となりのホテルのエントランスでは4人くらいの白人さんたちが歌を歌っていた。
明るい歌なのに、なんでだかこの街の静けさが余計引き立っていた。

夜に人々が活動しているとはいえ、飲み屋があるわけでもなく、酔っぱらってるわけでもない、観光がメインなわけじゃない、やっぱりミサのあとの人々の静かな高揚感、ホスピス、そういったものを感じさせる、不思議な空気だった。

ホテルの部屋にはいり、寒くてお風呂であったまりたかったけど、疲れてしまって、この暗い部屋も怖くて、すぐに寝てしまった。

あした起きたらどんな景色が見えるんだろう。
と思いながら。