かえってきた⭐️cui cui diary〜 ティータイムにessayを。

おもに旅日記、日々の中の新鮮さを保つこと。

北八ヶ岳で苔を見た。

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友人に誘われ、北八ヶ岳の苔の観察会に行ってきた。小さき宇宙の世界。これほど足元に目を凝らしたことはない。こんなミクロな世界があったなんて。森の始まりの姿をみた。アイスランドにいったとき、そこは溶岩の上を覆ういちめんの苔の大地だったのがすごく印象的だった。苔は光合成により完全に自主独立した生命体(他の生き物から栄養をもらうわけじゃない)で、たっぷりと水を含んだ苔の大地の上に木が育つ。

北八ヶ岳は日本でも有数の苔の名所で、最近はJR大人の休日倶楽部で吉永小百合がCMで訪れたことでまた注目を集めているそうだ。苔の観察はじっと足元を見るので寒かったけど、苔を愛する人達の苔愛が素晴らしかったです。そしてこの観察会を主催する北八ヶ岳苔の会を育てた、通称苔じいのストーリーがとても印象的だった。

苔じいからお聞きした苔の会の歴史をいっきに書いてみます。

8年前から始めたこの活動、北八ヶ岳の貴重な苔を守るため、また広く知ってもらい色んな人に訪れてもらうため、山小屋の大将たちと苔じいで「苔の会」と名前をつけスタートした。まずは苔についてきちんと知るため、科学博物館の先生に何とかコンタクトを取って招致し観察会をひらき、北八ヶ岳が「貴重な苔の森」に認定された。先生には苔の会の「顧問」をお願いし、継続的な活動に発展していく。貴重な苔を外にアピールしていくため、行政に断られながらも諦めず補助金を取り、北八ヶ岳の苔の図鑑とパンフレットを製作した。また現地に訪れる人のために山小屋の大将がひとりでコツコツと森に木道を設置したり、苔の会メンバーも日本蘚苔類学会に入会し、北八ヶ岳での学会開催が実現し、苔の会メンバーも研究活動に邁進し学会で先生と共同発表を行うまでに学術的にも発展したそうだ。やがて苔の会の活動に行政も積極的に関わるようになり、苔の森開きの日には市長もくるようになったり、観察会のある日には拠点となる山小屋まで行政がバスを出してくれるようになることで多くの人が訪れ、北八ヶ岳の苔の森はメディアにも取り上げられ広く知られるようになった。そしてまるでトントン拍子にディスカバーJAPANにのり、アメリカのウォールストリートジャーナルに取り上げら、そしてJRのCMで吉永小百合さんがくる!!と今や静かなる苔ブームがおきているよう。

苔じいと山小屋の大将たちだけで始まった活動。一から全部やったからすごく面白かった、と苔じいは語って下さった。全国的な貴重な森であることを知って、地元の人の意識も変わったことが嬉しかったそう。そう、苔じいはそもそも地元民ではなかったのだった!(ITの方で、場所にとらわれない働き方ができる方。)たまたま居合わせた縁がここまでになったそうで、わたしは生き生きした苔じいの話しを聞きながら、人を活かすのは自分なりの活動や好きな仕事でそしてそれはこんな風に自分でつくることができるものなんだなぁ、と思った。

そして苔の会メンバーは表向きの事は行政にゆずり、いまは苔のガイド活動をしながら、ミクロからみるマクロの世界の不思議、苔から考える命のはじまりについて、考え、問いかけ、次の世代に継承していくことを、楽しみとしているという。私たちはこのような苔を愛する苔の会の方たちと科学博物館の先生にガイドをしていただいた。

 

私はアイスランドの苔の大地をみてから少し苔に興味を持つようになった、あの風景は忘れられません、と観察会でいうと、「苔は最初に海から陸に上がった生き物だ、アイスランドではそのはじまりに近い姿が見れたのかもしれないね」、と苔じいと科学博物館の先生が言ったのがとても印象的だった。私の中で自分の旅と旅が繋がって世界が広がった感じがした。(始まりの国、アイスランドへ。スナイフェルスネス半島編。 - かえってきた⭐️cui cui diary〜 ティータイムにessayを。

 

私には今回苔を通して出会った人が苔よりも印象的!という旅でした。

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 青空も見れたよ。