夢で誰かが面白いことをして、爆笑していた。目が覚めた時にはまだお腹の奥からぐうっとその笑いのエネルギーが湧いてきていて、ぐふふ・・と薄ら笑いながら起きた。エネルギーが見せた夢だ。
今回はバスを乗り換えることなく、そのままシンクヴェトリル国立公園のポイントにいった。
シルブラというポイントは、溶岩の台地を30年もかけて通過しながら濾過された水が、プレートの間を流れシンクヴェトラン湖に注いでいるという。
みっちょんはシュノーケルは初めて。後であわてないように、バスの中でわたしが知っていることを説明しておく。(おととしのドルフィンスイムをやっといて良かった!)そしてあとは何かあったらトムに助けを求めよう!というと、
み「百獣の、トム!」
と、まだ武井壮に染まっているのだった。
広々とした原っぱのようなところにバスは着き、たくさんの他のバスと、干してあるドライスーツやテーブルや、シュノーケルを終えたような人たちが集まっていた。
その活気をみるとなんだかどきどきしてきた。いよいよだ!
同じバスの前の席に座っていた女性に、みっちょんが「シュノーケルはじめてなんです。」というと、「私もよ!どきどきするわよね!わたしはジェニーよ。」と握手をした。(あっそっかこうやってサラッと名乗らなきゃ、と学ぶ。)ジェニーさんはオーストラリアから来ていて、一緒の友達はフランスから来たという。他にアメリカから来た若い女の子二人と、カップルが1組、それと私達の8人は、トムではなくレイチェルのチームだった。
いよいよ、ドライスーツに着替える。
シルブラの水温は年間通して4度ほどだそうだ。服装は、ユニクロのヒートテック長袖にわたしはセーターをきて、下はヒートテックのスパッツに厚手の靴下。
その上からスキーウェアのような繋ぎの保温スーツを貸してもらえるので着て、ドライスーツを着る。
腕にがっつりタトゥーのあるかっこいいお姉さんインストラクターが、さばさば面倒を見てくれた。日本にとっても親しみをもっていて、私達に興味を持ってくれた感じだった。
さてところで、経験者は知ってるだろうがこのドライスーツを着るのがめちゃめちゃ大変!
まず足をずぼっずぼっと入れて腰まではく。次に手をすぼめて、手首のキツいゴムに手を通す。おりゃっと腕を通して、今度は首のキツいゴムにそりゃっっといっきに頭をとおす。ゴムから頭がすぽっと出た瞬間は、まるで暗い産道から再び産まれたような感じだ。
そして誰かに背中のファスナーを閉じてもらう。首のゴムを内側に折り込んで、浸水しないようにピチっとさせる。これでかなり身体が圧迫されるのだが、次がいよいよ最難関のマスクだ!
マスクというか頭を覆うもので、かぶった完成図は、もじもじくんである。
こ、これに顔を入れるのですか??
という小ささで、まずアメリカ人の子がニット帽をかぶるようにいっきに頭を入れようとしてみた。
「oh my god!I can't...!」と、顔をあげた彼女の目にはもう笑いが宿っていた。
自力では頭が入る気がしない!マスクを前にもう笑うしかない。
レイチェルがきて、2人がかりでマスクをかぶせていった。わたしもみっちょんにかぶせようと、「よし、行くよ!」と言いながらもう笑っていて、手に力が入らないのだった。
「ちょ、ちょっと待って!(爆笑)」
「よし、こんどこそ行くよ、せーの」(←もう笑ってる)
「ちょ、ちょっと待って待って!(爆笑)」
の、繰り返しでもう涙が出てきた。
結局レイチェルにやってもらって、手袋もつけて、やっと準備完了!もう寒さなんて吹き飛んだ。(ちなみに、髪の長い人はマスクの下から髪の毛が出ます。なんかプロレスラーみたいに。)
フィンとシュノーケルを持って、黒い隊員達(?)がぞろぞろとポイントまで歩く。
ポイントには台地の割れ目があって、そこに階段がつけられていて、下にはものすごく澄んだ冷たそうな水が流れていた。お天気が良くて良かったねぇ!と話す。
前のチームがもぐる準備をしていたので、順番を待つあいだレイチェルがみんなの写真をたくさん撮ってくれた。写真がセットのツアーなのです。
さぁ、こちらがその時のわれわれの姿だ!ツアーのみなさんごめんなさい、日本で勝手に公開してしまいます。みっちょんの隣がわたし、その隣がジェニーさん。
そしてもじもじ隊員全員は、レイチェルの指示により、ジャンプした‼︎そしたらこんなことになった。
わたしとアメリカ人の子に奇跡のシンクロが。
もう、こんな写真がとれただけで満足だ。
でも本当の本番はこれから。いよいよ、冷たく透き通った水の中に入っていった。
時間の流れが変わるような透明さだった。生き物はほとんどいない。
ドライスーツに問題はなかったけれど、手袋だけが水がしみてきて手がかじかんでしまう。
あまりに冷たいので、私はずっと手術室に入る時の外科医のように両手を上にあげて泳いでいた。それで時々手をグーパーと動かしていないとほんとにかじかんでしまうのだ。
水の流れがあるので、一生懸命泳がなくても流れていける。前にいたみっちょんが明後日の方向に「あゆたーん!」と点呼をかけていた。後ろから「なに〜?」というと、あっそっちにいたのかっとふりかえって、「ちょっと確認をしようと思って、そっちにいるとは思わなかった!」と言った。みっちょんのこういう可愛いところ大好きだ。
時々くるっと仰向けになってラッコのように流れてみると、空とか岸辺の生き物が綺麗だなぁと思った。草とか花もあまり華やかでなくて寂しいなぁなんて昨日は思ってたけど、こんな透明で生き物のいない世界から目を向けると、そこには生命力をたたえた風景があった。命だ・・。こんなところにも。あぁなんか、綺麗な水に洗われているような気がする。
喉がかわいたら、川の水を飲んでみてくださいね、と言われていたので、一口こくっと飲む。うむ、まろやか!滋養がありそうだ。でもお腹に自信はないので一口にしておいた。
湖の手前で左に曲がり、そこがゴールだった。もう終わっちゃったという感じ。ジェニーさんたちも、ここは休憩場所?と言っていた。しかし水からあがると、ずっしりと身体が重かった。フィンとシュノーケルを外して、また私たちは草原を広場までてくてくと歩いた。
そしてまた一生懸命着替えをすると、身体がポカポカしてたのか、それともお天気で気温が上がったのかとても暖かかった。セーター1枚でぽかぽか、参加者にはホットチョコレートが配れられた。チームのみなさんとも距離感が縮まって、楽しかった。
つづく。